電気自動車が水没したら?感電や火災の危険と安全な対処法

電気自動車(EV)

こんにちは、電気自動車をこよなく愛する人間カズ180です。

「電気自動車が水没したら感電する?」「冠水道路をEVなら走れる?」「水が引いたあとなら電源を入れても大丈夫?」と不安になりますよね。

電気自動車は大容量の駆動用バッテリーを搭載しているので、水と電気の組み合わせを考えると心配になるのは当然です。

実際のEVは雨天走行や洗車などを想定して高電圧部分に絶縁・防水対策が施されています。私が乗っている日産リーフも、メーカーが冠水路で漏電や感電が起こらないか試験を行っています。

ただし、これは水没したEVをそのまま使って安全という意味ではありません。国土交通省は、浸水・冠水した車両について、外観上問題がなくても感電事故や電気系統のショートによる火災のおそれがあるとして、自己判断で始動しないよう注意しています。

私は約10年間リーフへ乗り、以前の車両では約20万kmまで走りました。現在は2019年式の日産リーフe+ AUTECHに乗っています。EVを長く使っていますが、冠水については「EVだから通れる」と考えるのではなく、そもそも冠水路へ入らないことが一番だと思っています。

  • 電気自動車が水没したときの感電や火災リスク
  • 冠水道路を走行してはいけない理由
  • 水没後に絶対やってはいけない行動
  • 保険や中古水没車で確認したいポイント
カズ180が所有する黒の日産リーフeプラスAUTECHのフロント外観

私が現在所有している日産リーフe+ AUTECH。EVには高電圧バッテリーがありますが、通常使用を想定した絶縁・安全対策と、水害後の取り扱いは分けて考える必要があります。

先に結論

電気自動車は雨や通常の水濡れを想定した安全設計になっています。しかし、実際に浸水・水没した車両については、自分で電源を入れたり、高電圧部分へ触れたりしてはいけません。

冠水道路へ遭遇した場合も「EVならエンジンがないから走れる」と考えず、可能な限り引き返すか迂回してください。

水没後は車両から距離を取り、販売店・ロードサービス・整備工場など専門家へ対応を依頼するのが基本です。

電気自動車が水没するとどうなる

まず知っておきたいのは、「EVは水に弱いから危険」という単純な話ではないことです。

普通の雨、水たまり、洗車などで簡単に感電するようでは自動車として使えません。そのため高電圧部分にはさまざまな安全対策があります。

問題になるのは、豪雨や河川の氾濫、高潮などで本来想定されていない深さまで車両が浸水した場合です。

水没すると感電するのか

電気自動車には数百Vに達する高電圧システムが搭載されています。

この数字だけを見ると「水に入った瞬間に感電するのでは?」と思いますよね。

しかし、通常のEVでは駆動用バッテリーや高電圧配線などが絶縁され、異常を検知した場合に高電圧回路を遮断する仕組みも採用されています。

日産もEVの開発において冠水路走行試験を行い、水による漏電や感電が起こらないか評価しています。

ただし、事故や冠水によって部品が破損している場合は話が別です。

国土交通省は、水に浸かった車は外見上問題がないように見えても感電事故や電気系統のショートによる火災が発生する可能性があると注意喚起しています。

特にEVやハイブリッド車は高電圧バッテリーを搭載しているため、むやみに触らないよう案内されています。

詳しくは国土交通省の浸水・冠水車両に関する注意事項を確認してください。

水が引いても安全とは限らない

車体が乾いて見えても内部まで乾燥しているとは限りません。配線、制御装置、コネクター、駆動用バッテリーなどに水分や泥が残っている可能性があります。自己判断で電源を入れないでください。

EVでも冠水路は危険

電気自動車には吸気して動くガソリンエンジンがありません。

そのため「ガソリン車より水の中を走れるのでは?」と思うかもしれません。

確かに構造上の違いはあります。ただ、だからといって冠水道路へ進入していいわけではありません。

JAFは2024年10月に、EV・ハイブリッド車・ガソリン車を使って水深30cmと60cmの冠水路走行テストを行っています。

条件 EVの結果
水深30cm・10km/h 走り切った
水深30cm・30km/h 走り切ったがアンダーカバーが外れ、ボンネット内部へ水が浸入
水深60cm・10km/h 走り切った
水深60cm・30km/h 複数の警告灯が点灯
水深60cm・40km/h 走り切ったが複数の警告灯が点灯

この結果だけを見ると「60cmでも走れたならEVなら大丈夫」と思ってしまいそうですよね。

そこが危ないところです。

JAF自身も、走り切れたEVでシステム故障の警告が出ており、「エンジンがないから大丈夫」と安易に冠水路へ進入するのは危険だとしています。

さらに実際の道路では、水が濁っていて深さが分かりません。

マンホールのふたが外れている、側溝が見えない、路面が崩れている、水流で車体が流される、といったテストコースにはない危険もあります。

JAFの冠水路走行テストでも、冠水路へ安易に進入せず可能な限り迂回するよう呼びかけています。

◆カズ180のワンポイントアドバイス

「自分のEVなら床下にバッテリーがあるから水に強そう」と考えないほうがいいですよ。バッテリーだけ無事でも、センサーや配線、ブレーキ、制御装置などが正常とは限りません。私は冠水路を見つけた時点で、走れるか考えるより別の道を探します。

床面を超える水深は危険

「何cmまでなら走っていい?」という疑問もよくあります。

しかし、私は安全な水深を数字だけで決めないほうがいいと思います。

国土交通省は、冠水道路を走る場合、水深が車両の床面を超えるとモーターや電気装置などに不具合が起こる可能性があるとしています。

また、水がドア下端付近まで来ると水圧によってドアを開けにくくなり、ドアの高さの半分を超えると内側からほぼ開けられなくなることがあります。

しかも車高や最低地上高は車種によって違います。

道路の一番深い場所が見えているとも限りません。

なので「30cmならOK」「20cmなら絶対安全」といった数字を頼りに進むのは避けてください。

冠水路で一番安全な判断

水深を正確に判断できない道路には入らないことです。前の車が通過したから自分も通れる、SUVだから大丈夫、EVだから止まらない、といった判断も危険です。

警告灯が出なくても動かさない

冠水後にメーターを見て警告灯が出ていなければ、「壊れていないから帰れそう」と思うかもしれません。

でも、それだけで安全とは判断できません。

車両内部へ水が入ったあと、時間がたってから腐食や接触不良が起こる場合があります。

海水なら塩分が含まれているため、さらに注意が必要です。

日産リーフAUTECHのステアリングとデジタルメーターパネル

日産リーフのメーターパネル。水没後は警告表示がなくても、自己判断で車両の電源を入れたり走行したりしないようにしてください。

JAFは海水による冠水について、塩分によって車内の電気配線などがショートして発火につながる場合があり、水が引いたあとも腐食が進行する可能性があると注意しています。

「昨日水没したけれど今日は乾いている」という状態でも油断しないほうがいいですね。

水没で火災は起こるのか

水没した車では火災の可能性もあります。

これはEVだけの話ではありません。

一般的な自動車にも12Vバッテリーや多数の配線、電子制御装置があります。そのため冠水した車両では電気系統のショートによる発熱や火災が起こる可能性があります。

EVではこれに加えて高電圧の駆動システムを搭載しています。

だからこそ、車体下側の高電圧部品やオレンジ色の高電圧ケーブルなどへ自分で触れて確認するのはやめましょう。

焦げ臭い、煙が出ている、異音がする、車体が異常に熱いといった状態なら車両へ近づかず、安全な距離を取り、119番など必要な緊急対応をしてください。

海水による水没は特に注意

台風では河川の氾濫だけでなく、高潮によって駐車中の車が海水に浸かることがあります。

海水は塩分を含むため、淡水の冠水とは違ったリスクがあります。

水が引いて乾いたあとも塩分が残り、電装品や端子などの腐食が進む可能性があるからです。

その結果、時間がたってからショートや火災につながることも考えられます。

海水に浸かった車は再始動しない

水が引いたからといって電源を入れたり充電したりしないでください。販売店やロードサービスへ、海水による冠水だったことも伝えたうえで対応を依頼しましょう。

電気自動車の水没時に取る行動

ここからは、実際に冠水道路へ入ってしまった場合や、駐車中のEVが水没した場合にどう行動すればいいのかを見ていきます。

車を守ることより、人の安全が最優先です。

走行中なら無理に進まない

豪雨で前方に冠水道路が見えたら、可能であれば進入前に引き返してください。

「あと50mだから抜けられそう」と進んでしまうのが危険です。

JAFのテストでも、速度が上がると大量の水を巻き上げ、車体内部へ水が入りやすくなっています。

また、実際の洪水では水が流れています。

タイヤが路面から浮き始めればハンドルやブレーキで車を制御するのも難しくなります。

冠水区間の真ん中まで入ってから引き返すのではなく、入る前に迂回する。これが基本です。

車内へ水が入ったら脱出

すでに走行不能となり、水位が上がっているならクルマを守ろうとするより脱出を優先してください。

可能なうちにシートベルトを外し、窓やドアから車外へ出ます。

電動ウインドーが作動しない場合に備えて、車内へ緊急脱出用ハンマーを置いておくのも対策になります。

JAFによると、ドアが水圧で開かず窓からも出られない場合でも、車内へ水が入り外との水位差が小さくなるとドアを開けやすくなる場合があります。

ただ、そこまで水が入る前に脱出できるのが理想です。

詳しい脱出方法はJAFの水没時の脱出方法も事前に確認しておくと安心ですよ。

◆カズ180のワンポイントアドバイス

冠水時に一番怖いのは「クルマを壊したくない」と考えて避難が遅れることだと思います。EVは高価ですし、私も自分のリーフは大事です。でも命より大切な車はありません。水位が上がっているなら、車両より先に自分と同乗者を守ってください。

水没後は電源を入れない

水が引いたあとの対応も重要です。

国土交通省は浸水・冠水した車両について、自分でエンジンをかけないよう案内しています。

EVなら言い換えると、自己判断で車両をREADY状態にしたり走行させたりしないということです。

スマートキーが反応する、ライトが点く、メーターが表示される、といったことも安全確認にはなりません。

まして「少しだけ動かして高い場所へ移そう」という判断も避けたほうがいいでしょう。

販売店、整備工場、ロードサービスへ連絡し、冠水した水位や海水か淡水か、車内まで水が入ったかなど分かる範囲で伝えてください。

高電圧部分には触らない

電気自動車の車体には高電圧システムがあります。

通常使用では乗員が簡単に触れられないよう保護されていますが、水害や衝撃によって車両の状態が変わっている可能性があります。

そのため、床下のバッテリーパックや高電圧ケーブルを自分で外したり、電圧を測ったりしないでください。

「12Vバッテリーの端子を外せば全部の電気が止まる」と考えるのも危険です。

EVには12V系統とは別に駆動用高電圧バッテリーがあります。

高電圧システムの処置はメーカーのレスキュー手順などを理解した専門家へ任せるのが安全です。

充電器も水没したら触らない

自宅でEVを充電している家庭では、クルマだけでなく充電設備の水害も考えておきたいところです。

戸建て住宅で壁掛けEV充電器から充電する電気自動車

自宅充電設備も水害時は注意が必要です。充電器やコンセントが冠水した場合は、乾いて見えてもそのまま再使用しないでください。

充電用コンセント、壁掛け充電器、V2Hなどが水没した場合も、むやみに触れないようにしてください。

Panasonicは、水没または水にぬれた形跡のあるV2H蓄電システムについて、水が引いたあとも機器へ触れず販売店へ相談するよう注意しています。

また、EV充電設備についても冠水したコンセントユニットや充電ケーブルユニット、漏電ブレーカーは交換対象として案内されています。

Panasonicの水害時のV2H・蓄電設備に関する注意事項も参考になります。

分電盤など乾いた安全な場所から電源を遮断できるとしても、周囲が浸水している場合は自分で近づかず、電気工事店や電力会社などへ相談してください。

EV充電設備と分電盤を点検する電気工事士

水害後の充電設備や分電盤は自己判断で再使用せず、必要に応じて電気工事の専門家へ点検を依頼しましょう。

水没車は修理できるのか

「水に浸かったら即廃車?」という疑問もありますよね。

これは一律には決まりません。

浸水した高さ、水に浸かっていた時間、淡水か海水か、車内への浸水状況、高電圧バッテリーや制御機器への影響などで判断が変わります。

軽い浸水で修理可能なこともあれば、複数の制御装置や配線、駆動用バッテリーなどに影響があり、修理費が車両価値を上回ることも考えられます。

だからこそ、自分で「動くから大丈夫」と判断せず、まず点検と見積もりを取ることが大切です。

そして修理費が高額になった場合は、修理だけにこだわらず買い替えも含めて比較したほうがいいかなと思います。

水没は車両保険で補償されるか

修理費や買い替え費用を考えるときに確認したいのが車両保険です。

保険商品や契約内容によりますが、台風・豪雨・河川の氾濫・高潮などによる水没被害を車両保険の補償対象としている保険があります。

例えば三井住友海上では、台風や洪水、高潮などによる水没損害を車両保険の対象として案内しています。

一方、地震や津波については通常の補償と扱いが違う場合があります。

また、保険を使用すると翌年度以降の等級や保険料に影響するケースもあります。

三井住友海上の水害・水没と車両保険の解説のように、あなたが契約している保険会社の約款・補償内容を確認してください。

水害前に保険証券を確認

台風が近づいてから車両保険へ入っても契約条件によっては間に合わないことがあります。普段から自分の契約に洪水・高潮・津波などがどう記載されているか確認しておくと安心です。

中古の水没EVは慎重に選ぶ

大きな水害が起きたあと、中古EVを購入するときも少し注意したいところです。

一度水没した車は、修理・清掃後に外観だけ見ても判断しにくい場合があります。

一般社団法人日本自動車購入協会の説明では、日本自動車査定協会の中古自動車査定基準における冠水車は、集中豪雨や洪水などで室内フロア以上に浸水したもの、またはその痕跡によって商品価値の低下が見込まれるものとされています。

中古車では、異常なカビ臭、シートレールや通常ぬれない部分のサビ、泥や砂の痕跡、不自然な電装トラブルなどが手がかりになる場合があります。

ただ、一般の購入者が完全に見抜くのは簡単ではありません。

特にEVは床下に大容量バッテリーを搭載する車種が多いため、冠水歴に不安がある車は価格の安さだけで飛びつかず、販売店へ水没・冠水歴について確認してください。

私自身、中古のリーフe+ AUTECHを購入していますが、中古EVではバッテリー状態をかなり重視しました。

以前のリーフでは約20万kmまで乗ったあと電池系統の故障を経験しています。

水没歴の有無に限らず、中古EVはSOH、警告表示、充電状態、保証の残りなどを確認して選ぶことをおすすめします。

災害時の給電にも使わない

EVは災害時の非常用電源として活用できるのもメリットです。

V2Hや外部給電器を利用すれば、停電時にクルマの大容量バッテリーから住宅や家電へ電気を供給できる車種があります。

ただし、浸水・冠水したEVから給電してはいけません。

国土交通省も、災害時にEVを非常用電源として利用できると案内する一方で、浸水・冠水した車両については感電・火災のおそれがあるため使用しないよう注意しています。

災害時だからこそ、「バッテリー残量があるから使おう」と急がず、冠水した形跡がないかを先に確認してください。

電気自動車の水没FAQ

Q1. 電気自動車が水没すると感電しますか?

A. EVは通常使用を想定した絶縁や高電圧遮断などの安全対策があります。ただし実際に浸水した車は部品が損傷している可能性があり、国土交通省も感電事故のおそれがあるとしてむやみに触らないよう注意しています。

Q2. EVなら水深何cmまで走れますか?

A. 安全な水深を一律に決めることはおすすめできません。JAFのテストでは水深30cmでも速度によってEVのアンダーカバーが外れ、水深60cmでは複数の警告灯が点灯しました。実際の道路では水深や路面状況も分からないため、冠水路へ入らず迂回するのが基本です。

Q3. 水没したEVは乾けば乗れますか?

A. 自己判断で乗らないでください。外側が乾いていても配線や制御装置、バッテリー周辺などに水分や泥が残っている可能性があります。電源を入れず、販売店やロードサービスへ相談してください。

Q4. 水没した電気自動車は火災になりますか?

A. 水没した車では電気系統のショートなどにより火災が発生する可能性があります。特に海水に浸かった車では塩分による腐食が後から進むこともあります。煙、焦げ臭さ、異常な発熱などがあれば近づかず緊急対応を依頼してください。

Q5. EVの水没は車両保険で補償されますか?

A. 台風・洪水・高潮などの水害を車両保険の補償対象としている商品があります。ただし契約内容によって異なり、津波などは別扱いになる場合があります。実際の補償可否は加入している保険会社へ確認してください。

電気自動車の水没対策まとめ

電気自動車は、高電圧バッテリーを搭載しているからといって、通常の雨や洗車で簡単に感電するクルマではありません。

メーカーは絶縁や高電圧遮断などの安全対策を行い、日産のように冠水路で漏電や感電の有無を確認しているメーカーもあります。

ただし、実際の水害で車両が水没した場合は別です。

部品が破損している可能性があり、泥水や海水が内部へ入れば電装品のショート、腐食、火災などにつながるおそれがあります。

水害時に覚えておきたいこと

  • 冠水道路を見つけたら無理に進入しない
  • 車内へ水が入る状況では脱出を最優先する
  • 水没後は自己判断で電源を入れない
  • 高電圧バッテリーや配線へ触れない
  • 充電設備やV2Hが水没した場合も使用しない
  • 販売店やロードサービスへ専門対応を依頼する
  • 車両保険の水害補償を事前に確認する

特に覚えておきたいのは、「EVならエンジンがないから冠水路でも大丈夫」という考え方はしないということです。

JAFの実験ではEVが深い水を走り切った例もありますが、警告灯の点灯や車体部品の脱落も発生しています。

テストコースで走れたことと、豪雨で濁った実際の道路を安全に走れることはまったく別ですよ。

私はEVに約10年間乗り続けています。

自宅で充電できる便利さ、走行コスト、モーターの静かさなどEVの良さをかなり感じていますし、今後もEVへ乗り続けたいと思っています。

だからこそ、水害のときだけはEVの性能を過信しないことが大切です。

クルマを守るより、まず人を守る。水没後は自分で確かめず専門家へ任せる。

これが電気自動車の水没に備えるうえで、いちばん重要な考え方だと思います。

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